高低差のある土地は周辺に比べて坪単価が安く、購入を検討する人もいるかと思います。Aさんもそんな1人です。
希望エリアに割安の物件を見つけたけど、1mくらいの高低差があるんだよね。
これは買ってもいいの?
購入するなら高低差がある土地のリスクについてきちんと把握するべきです!
高低差のある土地はリスクがある、というのは土地探しを始めるとよく言われることです。
この記事はこんな人におすすめ
- 土地探しを始める人
- 高低差のある土地に住む人
例えばあなたが買おうとしている土地が隣地との間にこんな高低差があったらどうしますか?
この土地のリスクは何があるでしょう。建物はどうして境界線から離れているでしょう。新設ブロックは何のためにあるでしょう。
私は設計として住宅業界で仕事をしていて、高低差のある現場をたくさんみてきました。これは建てる側としてはよくても施主の人から見たらどうなんだろうと思う現場も数多くありました。
だからこそ施主の人にも
高低差のリスクを知ってほしい!
重要なことはリスクを把握して、適正リスクを取ることです。
リスクのない土地というのはありません。ですが想定されるリスクと避ける方法や対処法をあらかじめ知っておけば怖くありません。リスクと対処法を知って納得した上で土地購入しましょう。
ココナラにて間取りの相談と住宅購入の相談をを受け付けています。
- 安いけど高低差のある土地のリスクについて知りたいママ
- 土地探しが行き詰まっているママ
是非ご相談ください‼️ついでに子育ての愚痴も聞きます😂
高低差のある土地購入への警鐘
日本建築学会も高低差のある土地の購入に対して警鐘を鳴らしています。
平坦地以外の土地では、問題が生じることがありますので、注意が必要です。
隣地や道路と高低差がある擁壁の場合、擁壁の図面(造成図面、擁壁の構造図など)があるかどうか、建築基準法の竣工の検査が済んでいるかどうかがわかる検査済証があるかどうか、行政の指導などがあるかどうかを確認しましょう。加えて、現地にて擁壁の状況、ひび割れ、たわみ、ふくらみなどを実際にみてみましょう。 購入しようとしている土地が平坦地でも、隣地の中に高低差がある場合には注意が必要です。たとえば、隣地の擁壁がこちらに向かって崩れてきた、あるいは隣地の擁壁が崩れた結果として隣地だけでなく自分の土地も傾いてしまった、隣地に傾斜を利用して巨大な建物が建設された、などの問題が考えられます。これについては、自分では制御できないことが多いので、どのようなことが起こりうるかについて、予め説明を受けて、納得してから購入してください。
出典:日本建築学会 住まい・まちづくり支援建築会議 戸建住宅に関わる重要事項説明のチェックポイント ■土地の高低差に注意(http://news-sv.aij.or.jp/shien/s2/kodate/buyingproperty3-4.html)
・・・(昇天)
戻ってきて〜〜〜
難しいので要約するとこんな感じです。
熱海の土石流事故について
ところで、皆さんこのニュースはご存知ですか?
2021年7月3日午前10時半ごろ、熱海市伊豆山の伊豆山神社南西で、大規模な土石流が発生し、逢初(あいぞめ)川に沿って土砂が流出した。県や同市によると、多数の民家が流され、巻き込まれたとみられる女性2人の死亡が確認された。約20人の安否が分かっていない。記録的な大雨の影響とみられ、沼津市で民家1軒が流されるなど静岡県内で被害が相次いだ。
出典:あなたの静岡新聞 回顧2021①熱海土石流(https://www.at-s.com/news/shittoko/1000624.html)
熱海で起きた土石流事故ですよね。知ってる人がほとんどだと思います。
これは造成会社が造成許可よりも大規模な造成を行ったことによる人災だという見方もあります。
これも高低差によって起こった事故です。規模が違いますが、あなたの買おうとしている高低差のある土地にも同じようなリスクを含んでいます。
宅地造成等規制法について
高低差のある土地への住宅建築はきちんと施工しなければとても危険です。なので宅地造成等規制法で規制されています。
宅地造成等規制法とは宅地ではない土地(森林や農地等)を宅地にするために土地の形状を変更することです。
・・・(昇天)
二度目の昇天!
戻ってきて〜〜〜
難しすぎてなんのこっちゃですよね。自分の家を建てるならこれだけ覚えればOKです。
建築会社は建物しか保証していない
- 宅造許可は時間と費用がかかる
- 安息角で建物を担保するほうが時間と費用がかからない
宅造許可を避けたい建築会社
宅造許可は時間がかかります。造成の費用も増大します。
ですから建築会社が造成の段階で盛り土1mをギリギリ避けてくるような小手先の手を使ってくることがあります。
施主にとっても時間とお金がかかる
負担になるし嫌がられるだろう。
こうすれば高低差を基準ないに納めることができるので、宅造許可不要で時間も費用も節約できます。
安息角で建物は担保する
制限を超えなくても高低差がある場合は安息角で建物を担保します。
砂場で砂を上から落として山を作ると斜面の角度は30°になります。
公園で子供と試してみて!
冒頭の敷地の例を見てみましょう。
これに安息角を描くとこんな感じです。
このとき自分の敷地に新設するブロックは土圧を受けていません。このブロックは土留ではなく境界を明示する役割しかありません。
安息角ラインに建物基礎を当てるために隣地境界線から建物を離します。
敷地が大きい場合はそれで対応できますが、無理な場合は深基礎で根入れを確保します。
建築会社は安息角で建物を担保します。建物が安息角ラインより上だと最悪建物が丸ごと滑り出すということになります。そこまでいかなかったとしても、建物が傾く原因になります。これは危険なので厳しく規制されています。
住宅に対する基準は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(通称品確法)で細部まで決められており、これを遵守しなければなりません。
住宅は大半の人にとって人生で一番大きな買い物であり、一度きりの買い物になります。最初で最後の買い物である住宅のクオリティは判断しにいため、品確法で規制されています。
制限を超えないから大丈夫か
- 制限を超えないからリスクがゼロなわけではない
- 建物は担保されていても庭や土留は保証されていない
リスクがゼロになるわけではない
では、制限を超えないから大丈夫なんでしょうか。
答えはNoです。
制限は一定のラインを設けるためにありますが、それを下回るからと言って急にリスクがゼロになるわけではありません。地滑りを起こす可能性、被害が出る可能性は高さが低くなるにつれて低下します。
例えば盛り土に対するリスクを考えてみます。
宅造許可が1mを基準にするから、1mを境にリスクが増大するように感じます。1mを超えなければいいという考えになりがちです。
実際のリスクは高低差が大きくなるほど増大します。
砂場で5cm差の砂山を作ってみてください。ぱっと見ではほとんど差がわかりません。制限をクリアしたからリスクを考慮する必要がなくなったとは考えにくいです。
安息角ラインより上の土は崩れる
では先ほどの例を見てみましょう。
この状態で隣地ブロックがなかったら、どうなるでしょうか。
現実では他の諸条件によりますが、前述した通り土は安息角30°なので、そのライン以上にある土は崩れます。
建物は大丈夫ですが、庭とブロックは崩れます。隣地に土が流れ込むことになります。これをみなさんならどう考えますか?
もしこのスペースを庭として手入れしていたら?自転車を置いていたとしたら?
こういうリスクがあるということは先に考えておくべきです。
リスクを認識して適正リスクを取る
じゃあ何cmだろうと擁壁を作るのが正解かというとそういうわけではありません。
大事なことはリスクを認識して適正リスクを取ることです。
例えば購入したい土地に既存擁壁があったとします。既存擁壁の安全性について行政に確認すると大抵こう返ってきます。
検査済証はありますか?
あったとしても安全とは言えません。
どうしても既存擁壁を利用したいなら
建築士に一筆もらってください。
では建築士に聞くとどうでしょう。
、、、書きたくないな。
これが本音です。
擁壁の安全性を確認する方法はないの?
既存擁壁が、建築基準法の工作物の確認・検査済証や都市計画法の開発許可を受けて設置された宅地用の擁壁であり、かつ、常時適法な状態に維持され、著しい劣化等がなければ、安全と判断できます。
出典:~ 既存擁壁に近接する土地で建物を計画している皆様へ ~福岡県建築都市部建築指導課建築審査係
常時適法な状態に維持され、著しい劣化等がなければ
これを証明するって難しくないですか?あなたならどうしますか?
自然環境や外力で劣化していないと
明確に証明できない、、、
検査済証を取っていたとしても建築士の一筆がないと行政は安全性があると判断してくれません。
この行政と建築士の押し問答、仕事で何度も見てきました。どっちか保証してくれよ!って思うんですけどね。
コンクリートで固めてしまったものに対する安全性の担保がいかに難しいかがわかります。
購入しようとしている土地の隣地に既存擁壁がある場合もあります。
「この擁壁はきちんと維持管理されていますか?」「擁壁の検査済証はありますか?」と聞いても何のこっちゃ?って人も多い!
土地の安全性は誰かに保証してもらえるものではありません。自分で把握して適正に管理するようにしましょう。
高低差リスクへの対策
災害大国日本に住む私たちは、防災に対する意識が高いです。
Twitterで土地に関するアンケートの中で、ハザードマップを確認する人は100%でした。
ハザードマップという言葉自体の認知度もここ数年で急激に高くなりました。
東日本大震災や西日本豪雨を経てきた私たちは、防災に対する意識がぐんぐんあがっていることがわかります。
では高低差がある土地に住む場合の具体的なリスク回避法について解説していきます。
地震に対するリスク回避
地震は予測が難しいですが、緊急地震速報があります。
緊急地震速報は、地震の発生直後に、各地での強い揺れの到達時刻や震度を予想し、可能な限り素早く知らせる情報のことです。強い揺れの前に、自らの身を守ったり、列車のスピードを落としたり、あるいは工場等で機械制御を行うなどの活用がなされています。
出典:気象庁 緊急地震速報とは(https://www.data.jma.go.jp/svd/eew/data/nc/shikumi/whats-eew.html)
でも緊急地震速報から揺れまで数秒しかないでしょ?
たかが数秒!
されど数秒!
この数秒で危険から回避できる場合があります。先ほどの例で考えましょう。
図の例では高低差90cmです。この状況でブロックと土が崩れたら上にいても下にいても怪我するかもしれません。下の場合はブロックが降ってきます。ブロックはコンクリートの塊です。大人ならまだしも、幼い子供だと身長よりも高い位置からブロックが降ってくることになります。
考えただけでも恐ろしいですよね。
数秒でも危険な場所から離れることはできます。子供にも日頃から伝えておくと、いざという時に身を守ることができます。
洪水に対するリスク回避
洪水に対してはどうでしょうか。こちらはある程度予測ができます。
私自身も河川の近くの土地を買いました!
避難情報には常にアンテナをはっています。
こちらも地震の時と同様に危険場所から離れるというのが先です。
既存擁壁で水抜き穴がない場合、土圧+水圧で擁壁が崩れるという可能性も高くなります。コンクリートブロックも宅内の雨水排水がうまくいかず水圧がかかって崩れることは想定されます。
冒頭で話した熱海の土石流も記録的豪雨で土砂が水を含んでいたことで土石流になりました。それだけ土圧と水圧が合わさると甚大な被害をもたらします。
洪水は地震よりも予測がつきやすいです。危険だと早めに判断して避難場所に逃げましょう。
また、日頃から排水がきちんと機能しているかチェックすることも大切です。
側溝が汚れて詰まっていないかチェックすることも大切です。擁壁がある場合は雨が降った後水抜き穴から排水がきちんとされているか目視確認しましょう。
隣人とのトラブルリスク回避
これを見落とす人が多いですが、侮らない方でください。
建築会社は言い方が悪いですが、建てたら終わりです。
でも皆さんはそこで何十年も暮らします。
「隣の人とトラブルになったから責任とってほしい」なんて建築会社に責任を問えません。
特に重要なのは、建物以外の部分について建築会社が保証をしていないということです。
先ほどの例を見てみましょう。
例えば隣地ブロックが経年劣化で壊れた場合、どういうことが想定されるでしょう。
この時に隣地側に幼い子供が遊んでいたとしたら?ご年配の方だったら?考え出すとキリがないです。
もし庭として綺麗に手入れしていたとしても全て無駄になります。
いくら隣地のものだといっても、自宅の土圧を全部受けているせいで壊れたかもしれません。
さらに、元の状態に戻すにはお金も時間も場所も必要です。どういう負担にするかで揉めることになるでしょう。
他にも境界周りをめぐる隣地トラブルになるポイントはいくつかあります。
こういう隣人トラブルは自然災害よりも身近にあります。あなたの身にふりかからないとは限りません。自宅を建てる前から、隣人との人間関係も境界もはっきりさせておくべきです。
もし越境物がある場合は覚書を交わすことも有効です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。高低差リスクについて考える機会になったら幸いです。もう一度冒頭の例を見てみましょう。
この場所に住まざるを得ない場合は私ならこうします。
隣地との関係や災害リスクを考えると、費用がかかったとしても土留を新設します。
みなさんはどう考えますか。コメントしてもらえると嬉しいです。
ココナラにて間取りの相談と住宅購入の相談をを受け付けています。
- 安いけど高低差のある土地のリスクについて知りたいママ
- 土地探しが行き詰まっているママ
是非ご相談ください‼️ついでに子育ての愚痴も聞きます😂
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